飯塚純『PLAY』

 

飯塚純『PLAY』

飯塚はこれまでに、森の写真を印刷したカードで遊ぶことで作者が森で遭難した記憶を追体験させる作品《FOREST MEMORY GAME》や、一枚のデジタル写真を構成しているピクセルの色彩を立方体パズルへと置き換え、終わりなきデジタル画像の改変性を提示した《PICTURE CELLCUBE》といったユニークな作品を発表してきました。
本展「PLAY」では、飯塚がルーブル美術館を訪れた際の記憶を鑑賞者に追体験させる作品や、生産終了したアーケード・ゲームのキャラクターに安らぎを与える作品など、既製品に「遊戯性」を与えた作品群を発表致します。
合理性が求められる現代において、極めて私的な眼差しを通じて新たな価値を再考する展示となっております。ぜひご高覧ください。

趣味で遊んでいるトレーディングカードゲームがある。その業界では中古市場が盛んで、カードの状態を段階的に示す語として、傷や汚れのまったくない完全な新品をMint(ミント)、非常に多くの傷や汚れが目立つものをPoor(プアー)などと呼んでいる。市場価値でみればMintのカードはPoorよりも高額になるが、Poorのカードにしか生み出せない価値もあるのではないだろうか。
Poorのカードについた幾つもの傷跡からは、元の持ち主たちの歴史や、資産価値など気にせずに友人と遊んだ少年時代の記憶を想起することができる。傷が入るほど市場価値は下がっていくが、他者の人生や自身の人生をみるための装置としての強度は高まっていると感じる。
カードに刻まれた傷や裂け目と、私の記憶の中にあるイメージが星座のように線となって結ばれたとき、そこに全容を知ることのできない「美しさ」がプリズムのごとく一瞬だけ表出し、輝く。その輝きに、遊戯性を与えることで、他者との関わりをもつ地平が開く。

飯塚純

【開催概要】
会期:2024年6月8日(土)~23日(日)
   12:00~19:00 ※月曜日・火曜日・水曜日休廊
場所:GalleryYukihira(アクセス

【作家プロフィール】
飯塚 純 [いいづか・じゅん] 美術家。
1987年新潟県生まれ。横浜美術大学美術学部卒業、長岡造形大学大学院造形研究科修士課程修了。主な個展として「Doughnut Holes」 (Gallery Yukihira、2021)、「1/IMAGE (ON READING GALLERY、2018年)」、「REPHOTOGRAPH(BOOKS f3、2017年)」、「STAR DUST」(Gallery mu・an、2015)がある。また、主なグループ展に、「An Awakening Photography」(東京芸術劇場 Gallery Ⅱ、2019年)、「新章風景 #2−現代における風景写真の在り方−(東京都美術館、2017年)」、「REPHOTOGRAPH(BOOKS f3、2017年)」、「新章風景−現代における風景写真の在り方− (ターナーギャラリー、2015年)」などがある。その他、国内外問わず多数のアートフェア、ブックフェアにて作品を出品。主なコレクション先として、2018年にTai Kwun(香港)のアーティストライブラリーに『REPHOTORAPH』シリーズの一部と『FOREST MEMORY GAME』が収蔵。主な出版物として、作品制作実践論として執筆した書籍『ドーナツの穴は被写体になるのか?』(喫水線、2022)や、グラフィック・デザイナーの相島大地氏が主宰するブックレーベルDOOKSにて、『STAR DUST』(2016)、『THE LAST DRIVE』(2017)など、他多数の書籍を出版。近年では、遊戯性をテーマにファウンド・フォトやファウンド・オブジェによる作品を発表している。
www.juniizuka.net

参考作品


左:《MEMORY OBJECT - Winged Victory》/ 2022 / 150×180×130mm / Figure(Soft Vinyl)
右:《Apple. 2024 - Red》/ 2024 / 60×60×60mm / Cube puzzle(Plastic)

お問い合わせ先
Mail:info@yukihira.net(代表・福嶋幸平)