岡田将『Microplastics』
本作は微細なプラスチック片を撮影したものである。大量生産・大量消費社会の象徴ともいえるプラスチックは、第二次世界大戦によって資源不足に陥った社会を支えてきたが、その代償として、おびただしい数のプラスチックごみが海へと流れ出た。紫外線や海流によって劣化し、5ミリ以下に砕けたプラスチック片は「マイクロプラスチック」と呼ばれ、海洋汚染や海洋生物による誤食が問題となっている。プラスチックの原料である石油は、死骸となった太古の生物が長い時間を経て地中で液状化したものである。言い換えれば、太古の生物が近代以降の生産と消費のなかでマイクロプラスチックとなり、現代の生物に誤食されているのだ。マイクロプラスチックの形状は、特殊な顕微鏡撮影によって拡大視することではじめて詳しく知ることができる。生物にも鉱物にも見えるその姿は、太古の生物の名残を感じさせると同時に、地層に堆積していくマイクロプラスチックの数千年・数万年後の姿を想像させる。地熱で液体化していくのか、圧縮され新しい化石として生まれるのか、それとも変わらぬ形のままなのか−−いずれにせよ、人類が去ったあともマイクロプラスチックは地球に存在し続けるだろう。
岡田将
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【開催概要】
会期:2023年10月7日(土)~22日(日)
12:00~19:00 ※月曜日・火曜日・水曜日休廊
場所:GalleryYukihira(アクセス)※移転のため会場が異なりますのでご注意ください
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【作家プロフィール】
岡田 将
2022 東京在住
2005 日本写真芸術専門学校 卒業
1984 東京都生まれ
個展
2022/06 「Microplastics」(ふげん社 | 東京)
2019/10 「Neo Atlas」(GalleryYukihira | 東京)
2017/02 「砂の顔」(Nikonサロン | 大阪)
2016/11 「砂の顔」(Nikonサロン | 新宿)
2012/06 「白い痕跡」(Nikonサロン | 大阪)
2012/04 「白い痕跡」(Nikonサロン | 新宿)
グループ展
2022/12 プリピクテジャパンアワード Fire&Water(東京都写真美術館 | 東京)
2021/10 MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館(曽爾村 | 奈良県)
2019/04 showcase #8 “共振体 – Resonators”
curated by minoru shimizu(eN arts | 京都)
2018/10 Canon 写真新世紀 2018年度(東京都写真美術館 | 東京)
2017/06 9 Sence ARTS[Vol. 1](Y's ARTS | 東京)
2016/10 野球茶席の会 (おぢさんの家 | 東京)
受賞歴
2018 Canon 写真新世紀 2018年度 優秀賞 受賞
2015 Nikon Juna21 入選
2011 Nikon Juna21 入選
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参考作品
左:MICROPLASTICS / 2022 / アーカイバルピグメントプリント
右:MICROPLASTICS / 2022 / アーカイバルピグメントプリント
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お問い合わせ先
Mail:info@yukihira.net(代表・福嶋幸平)