水谷栄希 個展 『再び森の中へ』

 

水谷栄希 個展 『再び森の中へ』

「森」を意味する英語「forest」の語源は「外部・外側」を意味する「foreign」から来ているという。

「外部」という言葉は自分のテリトリー(home)ではない場所を指すのだろう。そこには豊かな資源もあり隣人もいて、同時に脅威や外敵もいたと思う。
遠い昔、自らの住まいの外へ危険を冒しながら狩りや採集へ繰り出す生活をしていた人々を想像する。

現代では生活に必要な素材を自ら採集するという場面は少なくなったが、学校、職場、旅行、インターネット、形を変えて内部と外部の関係性は続く。
物理的なものに止まらず、他人との関わり、自らの立ち位置など心象としての「home」と「forest」の関係は万人に共通するものだと感じている。

私は現在、キャンバスの背面から彩色をする手法で「内部と外部」「向こう側とこちら側」という隔てられた二つの世界をテーマに描いている。
鑑賞者の視線と筆者の痕跡が相対するこの手法を使い今回の展示では「家」から「森」を覗く形の作品を掲示する。

知らない地点、そして知っていても昨日までと違う地点、そういった場所へ赴くのは高揚の気持ちと同時に不安の気持ちもある。
それでもまた、当たり前のように自らの外側へと足を進める生活を続ける。

水谷栄希

【開催概要】
会期:2021年11月20日(土)~12月5日(日)
   12:00-19:00 ※2021年8月より月曜日・火曜日・水曜日休廊
場所:GalleryYukihira(アクセス

※お越しになる際は必ず【ご案内】をご覧ください。
※新型コロナウイルス感染症の影響により日程変更の可能性がございます。最新情報はTwitter(@GalleryYukihira)にてご確認ください。

■作品販売について
11月20日(土)12:00~オンラインショップをオープンいたします。
URL:https://art-view.wixsite.com/home
※会期中は会場でも直接ご購入いただけます。

【作家プロフィール】
水谷栄希
1991 愛知県生まれ
2011 東京芸術大学美術学部絵画科 日本画専攻 入学
2017 東京芸術大学美術学部絵画科 日本画専攻修士課程 卒業

個展
2019
《内側からの絵画》アートスペース羅針盤
《pulplism×eikimizutani》pulplism

グループ展示、賞歴
2015
《素描展》東京芸術大学陳列館
第29回三菱アート・ゲート・プログラム入選
2016
《素描展》東京芸術大学陳列館
第33回三菱アート・ゲート・プログラム入選
《三國G–spaceless》ソウル大学(韓国)
2017
《東京芸術大学卒業作品展》東京芸術大学美術館
《窓と階段》ピナコテーカギャラリー
《オルテラ2017》妙善寺
《損保ジャパン日本興亜美術賞FACE2018》入選
2018
《code,line,sides》ピナコテーカギャラリー
《秋の湯のれん展》大黒湯
2019
《羅針盤セレクション展》アートスペース羅針盤
《ギャラリーへ行こう2019》数奇和ギャラリー
《オル★テラ4》 妙善寺
2020
《杉山佳/ホリグチシンゴ/水谷栄希/ 三人展》アートスペース羅針盤
《ex\on》 dragged out studio [作家] 綾野文麿・水谷栄希 [企画・キュレーション] 中本憲利

statement
日々、自分と自分以外の人間との関係を当たり前に続けている。
そのためのツールーー言葉、行動、表情、態度ーーは豊富だし、生活の中で考える事の多くは意識的にも無意識的にもそれに割かれていると思う。
私にとって絵を描くという行為は「鑑賞」を想定している。それは自分自身であったり他人であったり。
絵を描くという行為が「絵画」と「鑑賞」の間を結ぶようなポジティブもネガティブも含む独立した関係になってほしいと願う。
現在、キャンバスの裏側から形を刻みこんで彩色し、表側には滲んだ図像が浮かび上がり、描画のベクトルが、鑑賞する視線と正対する絵画を描いている。
描かれた図像は、私からの一方的な投げかけにとどめず、「絵画」という大きな輪郭の内側からのアクションとなり、描画と鑑賞の間を行き来する関係の一つとしてみたい。
モチーフには、主体を欠き、また、誰でも引き受けることができる「向けられるモノ・発せられた言葉」を使う。
絵画の内側からの景色、言葉、記憶。 鑑賞者の各人各様の意味が立ち上がってきてほしい。
支持体を介して、鑑賞者が図像を引き受けてくれたとき、それは何かの形となり美しさを宿すのだと思う。

参考作品

左「rain」canvas,acryl paint,back colour 455×530mm ,2021
右「orion」canvas,acryl paint,back colour 727×727mm,2020

お問い合わせ先
Mail:info@yukihira.net(代表・福嶋幸平)